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きらきらと光る新緑、そして木漏れ日が映し出す影との力強いコントラストは、さあ進めと、私たちに生きるエネルギーを与えてくれているようです。

先日の懇談会後の午後、親父の会の面々によって、園内の畑の畝づくりが行われました。

まずは雑草取りから始まるのですが、なんとその中に、冬に収穫しそびれ、見事、越冬を果たした立派なほうれん草の一群を発見。それはそっと取り分けておいて、いよいよ硬くなった土の掘り起こし、そして耕作へと入ります。

一昨年の増築による畑の移動で、新たな「開墾」を余儀なくされ、親父たちを苦しめた昨年度。今年は多少は耕しやすくはなっていたのですが、それでもひと冬を放っておいた土を畑に戻すのは、かなりの労力です。それに、まだまだ除ききれていない石や増築時のガラが残っていて、それを除去しながらの作業は、まだまだ、親父たちの手をわずらわせるものでした。

この辺りの土は粘土質が多いのか、鋤(すき)がコツンと石に当たったのかと掘り起こしてみると、硬くしまった土の塊なんていうことが頻繁にあります。

農作物に詳しい親父さんの一人によると、トウモロコシを植えれば、根っこがそれを砕いてくれるとのこと。なるほど、だから開墾された、かの北の大地では、たくさんのトウモロコシが育てられているのかも。芋虫(幼虫)の多い土では根が食われる…なので虫の嫌う石灰を多めに入れ、石の多い土では、それを避けて育つ根菜は形が歪む、土を細かくすればするほど、水持ちが良い…。

皆で汗を流しながら、こういったことを教えてもらっていると、足下の土の中で根や虫や水や肥料が、戦い蠢きあっている映像がだんだんと頭に浮かんで来るもので、そういった目に見えない地中を語れるこの親父さんはすごい…と聞き入ってしまいました。

IMG 2196そして「土」と戯れた次は…「水」でしょう…ということで、翌日の日曜日は、海へ魚釣りに出かけてみました。

春の風を切って漕ぎ出た大海原、そのど真ん中で、針に生き餌に通すことに孤軍奮闘する海の男が一人。その姿に技量を見とった船長が、手取り足取り、面倒を見てくれました。

海釣りをしたことのある方はご存知だと思いますが、海の釣りでは、針の少し手前に、小エビや魚のミンチを入れた小さなカゴを付けて、それで魚を誘う釣り方があります。なので、ぐいっと一瞬強く竿を強く揺らし、そのカゴの中の餌を海中で散らすのですが、「ダメダメ、それじゃ散らないよ」と船長。どうして見えない海中の様子がわかるのか…不思議に思いながら手ほどきを受けるのです。

さらに、「海底から2メートルくらいにいるから、少し巻き上げて…」と確信に満ちたな言葉に…ギョギョッ!どうしてそれがわかるのですか!…さすがにこれは、魚群探知機で見ているのですね。それでも、船長の話を聞くうちに、カゴから散る撒き餌に、夢中になって集まる魚の群れを…感じて来るのでした。

見えないものを見る人…この船長も、私にすればすごい人です。きっとこれが、専門家と言われる条件なのかもしれませんが、その言葉に耳を傾けているうちに、私にも見える気がしてきたのは、その時、私も懸命に「見よう」としていたからなのかもしれませんね。

太公望曰く、魚は「釣れる」のではなく、己の腕で「釣る」ものなり。もの言わぬ子どもの心情もまた、「見えない」のではなく「見よう」としない己を、まず疑ってみるものなのかもしれません。

先の畑作業、それが終盤に差し掛かった頃、みるみる空が暗くなり、突然のにわか雨に襲われました。想定外の雨…今日のメンバーには、「空」を見ることのできる親父はいなかったようで…こんな時のスマホの雨レーダーでは、雨雲は小一時間で通り過ぎる模様。

ならばと、テラスの子どもキッチンで、冬越しのほうれん草を炒めながら待つことに…これもまた、よきかな。

親父たちに深謝。

(平成29年5月号 園だより「ひぐらし」より)

 

 

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