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水玉に囲まれて

園庭

今年の東京は、暖かいお正月で一年の幕を開けた。

年末年始はなんだかんだと忙しく過ぎていくのだが、その合間縫って都内へと用足しに出かけた。

そこで昼食を取ろうとたまたま立ち寄ったデパートの食堂街。何にしようかと物色している時、フロアの一角で開催されていた展示即売会なるものが目に留まった。遠くからでも人目を引く原色の水玉模様の作品群は、私でも名前を知っているくらいの、日本の著名な前衛芸術家の即売会だった。

そこでそそくさとランチを済ますと野次馬根性で会場入り。網目や水玉で構成される斬新なプリンティング、オブジェ、絵画の数々。初めて間近で現代アートを目にした娘は、言葉も発さずただただじっと作品に見入っているようだった。

しかし、私のようにうん十年人生経験を積んだ者はその見方が違う。作品名の横にある値札と作品を対比させながら味わうという「眼力」が備わっている。

「これで車が買えるよ。」「これはマンションの値段と同じくらい」という私の巧みな作品解説に「ウソ!」とこちらを振り返り、言葉を失うその娘の様子から、やはり全く値札など見ていなかった事が分かった。

「どうやってこの値段が決まるの?一体誰が買うの?」娘の矢継ぎ早の質問に「作家ごとに相場ってものがあってね・・・」などと分かったような口を利いたものの、私もふと考えこんでしまった。

車やマンションは作れないけれど、絵は描けるし家具に水玉模様も描ける。自分の描いた絵ではなく、車やマンションより遥かに高額な他人の絵を飾る心理とは何なのだろう、、、物の価値とは一体何なのだろう。

出口付近で、マネキンに水玉模様を貼りこんだ大きな作品の前を通った時、一瞬その値札の数字が読み取れず、、、0だけを数えても、、、8個も、、、あった。

もう80歳を越えるこの芸術家は、今も入院先の病院からアトリエへ通い、作品を作り続けていると、以前どこかの局で放映したドキュメンタリーを視て知っていた。それ故なのか、高い安い好き嫌い以前に、何か心揺さぶられるこれらの作品達に、来たる一年のエネルギーを少し貰えたような気になった。

この一年が、皆様にとって力に満ちた充実した一年となりますように。

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