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遅まきのひまわり

スケッチ

気づかぬ間に梅雨は明けていたようで、本格的な夏空の下、水遊び中心の毎日が始まっています。

今年の6、7月…園長として、例年にはないくらいのせわしなさの中で、頭をパンパンにしながら過ごしていたからでしょうか、ある夜、布団の中で、「あっ!」と声をあげました。それは、とある園長から、「種を増やして収穫してね。」と、ひまわりの種をもらっていたことを思い出したから。(これは、「福島とみんなをつなぐ、ひまわりプロジェクト」という活動。http://himawariproject.com/whats.html)

怠け者の園長は、それを誰かに撒いてもらおうと、何の説明もせず、S木主任のデスクにとりあえず置きっ放しにしていたのです…それも2週間くらい前に。そのひまわりの種は、不思議な事に、真っ青に染色されているため、「なにこれ、気持ち悪い…。」と捨てられてやしないかと、なおさら心配になったのでした。

「ああ、これですね。」

翌朝一番に声を掛けると、ちゃあんと保管をしてくれていた、マジメな彼女。「何だろうと思っていたんですよ。」と言いながら、ひと仕事を請け負ってくれました。
とりあえず、安堵した無責任な園長は、また忙しくも虚しい雑務へと、舞い戻っていったのでした。

Blog IMG 0211そして、他園から施設見学者を迎えたある日。階段の掲示板を眺めながら一向を案内をしている時…一つの活動写真に、ふと目が止まりました。
なっなんと、それは、あの青いひまわりの種!しかも、あの昔から親しまれている絵本「そらいろのたね」を絡めながら、子どもたち共に「ひまわりプロジェクト」を進める様子が語られている…まさかこんな展開になっていたとは…

その後の種の行く末のことなど、またしてもすっかり忘れていた不届きな園長は、多少の後ろめたさを感じながら、少し動揺しておりました。興味深げに掲示物に見入る見学者に、それを悟られないよう「青いひまわりの種をもらいましてねぇ…」と平静を装いながら、先へと歩みを進めました。

たまたま、私に託されたひまわりの種。忙しさにかまけて、すっかり人任せにしていた事もどうかと思うのですが、そのおかげで?、人知れず、園内の片隅に撒かれるだけの運命だったひまわりが、私の想像を超えた道を歩んでいたのでありました。

保育活動とは、きっとこうした偶然が重なり合って生まれているものだと、改めて思います。様々な人や物が行き交い、色々な出来事が交錯する園内で、何が拾われて、何が見逃されていIMG 2035るのか…神のみぞ知ることなのかも知れませんが、たまたま拾われた偶然を、子どもたちの新たな経験へと結びつけていく保育者たち。そこに、何らかの意味と期待を込め、子どもたちの前に再提示された時、ただの偶然と思われた出来事が、経験すべき「必然」へと生まれ変わる瞬間が訪れるような気がします。

子ども、そして人が育つために、絶対に必要な経験とは何であるのか…森羅万象に満ち溢れるこの世界から、それを選び出し、優先順位を付けることは難しいことです。それよりも、たまたま出食わした出来事を、価値ある経験へと位置づけてくれる人、そういう人と巡り会うことの方が、ずっと重要なことだと思うのです。

ただ、その巡り会いもまた、偶然の産物。となれば、自分は、子どもたちにとって、巡り会う価値のある大人になり得ているのか…自問自答は続いていきます。

ただ、今言えることは、種との出会い一つに、これだけ心乱されているようでは…まだまだ…ということでしょうか。

(平成29年7月号 園だより「ひぐらし」より)

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