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R乃ちゃんへ

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フルーツで彩られた卒園式、、、R乃ちゃんより一足先に他の仲間には卒園証書を手渡したよ。

まさかこの時期にインフルエンザが猛威をふるおうとは、園長先生も驚いた。誰かが戻っては誰がが休み、、、今日の卒園式にはピークは去りそうかなと期待もしていたのだけれど、、、R乃ちゃんの席だけが空いてしまった。なので少し淋しい式だったな。

そんな卒園式のだったけれど、園長先生は卒園するみんなへ3つの事を実行しようと話したんだ。紙に書いた文字を一枚ずつ見せながらね(みんな大きな声で読んでくれたよ。)。

ひとつ目は 「あいさつ」。これからできる新しい友だちと仲良くなる魔法の言葉。

ふたつ目は「そうだん」。新しい世界では最初は戸惑う事、困る事も多いもの。お父さん、お母さん、先生でも友だちでもいい。そんな時は誰かに相談をしたり助けを求めたり、力を貸してもらっていいんです。いずれ誰かを助ける人になるために。

最後のみっつ目は「ちょうせん」。これから目の前に次々と現れる新しい事に、思い切り挑戦をしてほしい。そしていくら失敗してもいいんだ。失敗したその翌日は新しい自分になっているはずだから。

そしてそのあとに、お父さん、お母さんたちにはこんな話もした。

運動会、遠足、、、今年の行事はことごとく天候に振り回された。でも、そんな事を気にして振り返るのは大人だけ。子どもたちはそんな事は意に介さず、毎日を「生きて」こうしてりっぱに成長した。

そうだよね、R乃ちゃん。
でもね、おとなってこういう事、すごく気にするんだ。子どもたちに楽しい経験をさせてやれなかったんじゃないかって。いつもの毎日だって、やりたい事さえできれば、それだけで十分にワクワクなのにね。

国ではものすごい予算をつぎ込んで、さらに気象予報の精度を上げるそう。大災害を未然に防ぐためなのだそうだが、ひと月、ふた月先の天気が正確にわかってしまうと、行事の予定も立てにくくなる。晴れの日の奪い合いになって。

天候や病など予測や予防もできなかった昔はどうしていたのかと考えてみると、、、「祈って」いたのではないかと思う。「しかたのない事」としてそれを受け入れ、ただただ祈っていたのではないのかと。

やがて、そうした五穀豊穣、無病息災の祈りが「お祭り」などの歳事を生み、宗教、哲学へ、、、つまりそれが「文化」を育む土壌となっていったのではないだろうか。

そういえば、今回のインフルエンザの流行もそうだね。現代だって「しかたのない事」ってあるんだね、、、残念だけれど。

しかたがないって思えるから「挑戦」する勇気を持てる。しかたがないって思えるから、別の方法や考え方へと幅を広げていける。しかたがないと思えたのなら、もうその事を乗り越えられているのかもしれない。

しかたがない、、、一見後ろ向きに見える言葉だけれど、私にはとても前向きで逞しい言葉のように思える。どうにもならない事に対する畏れ、謙虚さ、内に秘めたる覚悟と意思、そして何事もない平凡な毎日への感謝が込められている言葉だと思う。「しかたがない」の積み重ねが実は人を作り文化を作ってきたのではないだろうか。

「しかたない」を英語にすると「That’s life.」というのもあるんだ。「それが人生」だって。おもしろいね。

学校に上がると子どもたちだけで過ごす時間も増え、その関係も複雑になっていく。子どものようすや状況が今ほどは見えなくなり、不安もずっと大きくなる。子ども自身やその周辺も含め、親が思ったように、期待通りにならない事もあるかもしれない。

しかし、それはしかたのないこと。しかたがないと思うという事は、子どもを信じ、その周りの人を信じて受け入れ、見守る事なのだと思う。できる事と言えば、子どもの話をたくさん聞いてあげる事、それに共感してあげる事、そして励ましてまた送り出してあげる事くらい。それがまさに「祈る」ことなのだと思う。その「祈り」はきっといつか、、、天にそして子どもに通じるはず。

実はこの部分、うまく伝えられなかったんだ。だから本当はこんな風に話せていない。園長先生も、少し緊張していたのかな、、、。

かつては「もったいない」、去年は「おもてなし」、、、これからは「しかたない」もよろしく。

ここはみんな、ちょっとだけ笑ってくれたよ。これは本当。

園長先生は思うんだ。

どうなるかわからない事、予想ができない事、不確実な事がどんどん許されなくなっている気がする。そういうのって確かに不安なんだけどね。おとなたちは「したかない」って言わなくて済む状況を作ろうとしているみたいなんだ。そうそう、保育園の運動会もそうだったね。雨でも「しかたない」って言わなくてすむように小学校の体育館を借りたよね。IMG 2607

だから、挑戦もしにくくなっているんだ。みんな失敗しないように恐る恐るそぉーっとやる。うまくやれなかったら、周りのみんなはものすごくがっかりするからね(ここだけの話、怒る人もいるよ。これは内緒だよ。)。「しかたない。まぁいっか。」って思うのってそんなにいけない事なのかな。

絶対に確実にって、予防や予備を考える事で手順がどんどん複雑になって、マニュアルやルールや規則がどんどんできて、、、何だか窮屈なんだ、、、本当は。

社会が成熟するってこういう事なのかな。最後に残された「不安」を完全に駆逐するまで、みんなで全力を尽くさないといけないのかな。園長先生も「安心」は手に入れたいんだけれど、何でもかんでもこれだと、その引き換えに何かを失っていく気がするんだ。

ごめんごめん、R乃ちゃん。
話が難しくなってきちゃったね。

来週には登園できるかな。そうしたら、みんなでもう一回、卒園式をやろう!
バルーンで作ったフルーツのアーチもちゃんととってあるし、、、あとは天気だ。

「確実に」晴れた日を選ぼう、、、「しかたない」は一度やったもんね。

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