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白い恋人たち

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久しぶりとあってか、先月末から今月かけた大雪には、少し慌てました。いまだ、雪かきに奮闘中の雪国の方々には少し笑われそうな話ですが。

IMG 2733ふわふわに降り積もった、足跡一つない園庭。これから始まる雪遊びに、部屋の中で準備する時から、子どもたちも興奮気味…なのに、いざ園庭に飛び出し、雪の布団に大の字でダイビングするK西先生の後に続く子どもはおらず、こちらは少し拍子抜け。

よく考えてみれば、スキー場を含めても、わずか数年を生きただけの子どもたちにとって、降り積もる雪に遭遇した経験など限られているだろうから、少し慎重になるのも当然かもしれません。人間の自己防衛本能も大したものです。

IMG 2748中には、濡れたといって途方に暮れる子、冷たいと言って泣き出す子もいて、雪なのだから、それは当然だろう思いながら…言葉や絵本で見聞きしていたものを、こうやって、身を持って、感覚を通して、本当の意味で知っていくのですね。言葉は言葉だけでは定着しないもので、感覚とセットになって獲得されていくものです。普段「言葉を憶える」という言い方をしますが、実は感覚や感情を伴いながら、それは刻まれていくもので、少し難しく言うと、音声としての言語が身体化されていくというのが、言葉の獲得プロセスの正体です。体験に言葉を添えてもらいながら言葉を憶えているのです。

今回の雪との遭遇がそうであったように、子どもたちは、この世界の様々なエッセンスに、こうしてひとつ一つ出会っていく…その初めての出会いの場面に立合うことができる私たちも、なんとドラマティックな経験をしているのだろうかと、あらためて思います。そして、その出会いの瞬間を意味あるものにするための演出力、それが私たち、キューピッド役の腕の見せ所です。

IMG 2754さて、先日は、年長児童が参加した近隣、4つの保育園が集まって「ドッヂボール交流会」。心配だった園庭の雪もすっかりと消えた、今年は当園が会場でした。

今回は、昨年までの園対抗をやめ、交流をさらに深めていこうと、4園の混成チームを複数作り、後半は、一足先に顔見知りになろうと、就学する小学校別のチームで○×ゲームを楽しみました。

混成チームという初めての試みを、子どもたちがどう受け止めるのかと注意深く見守っていたのですが、チームの勝利に顔を見合わせ喜ぶ姿、自チームの担当保育者が他園の先生であっても、駆け寄って、笑顔を交わしながらハイタッチする姿、チームで相談しながら、真剣にゲームに取り組む姿…自然に関わり合えるしなやかさは、期待以上の光景でした。

IMG 2756応援に駆けつけてくれたそれぞれの園の保護者の皆さんは、もしかしたら、どこを応援?という戸惑いもあったのかもしれませんが、対抗戦であった時には、少し過熱気味の声援も気になっていました。どうしても自園の活躍に終始しがちな視点から、「ならば、何を見ようか」と視野を広げ、子どもたちの姿に、それぞれの発見があったのなら嬉しいなと思います。

これは、子どもたちにとっても同じで、わかりやすい対立軸を設けると、仲間内での連帯感は高まるのかもしれませんが、むしろ交流相手との距離は広がるのかもしれません。チームメイトといっても、交流会のいっときでは、打ち解けるまではいかないのかもしれませんが、「さて、どうしよう」といった戸惑いこそが、相手に関心を寄せようとさせるのではないでしょうか。

交流会の終了間際に聞こえた「おもしろかったぁ。」という子どもの声は、交流ならではの「出会い」の楽しさを見つけた言葉。 

私たちが放った今回の矢は、そのハートを大きくは外さなかったのかな。

(平成30年2月号 園だより「ひぐらし」より)

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