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With チルドレン

〜 園だより「ひぐらし」6月号として

 登園自粛要請が解除されて、2週間が経ちました。まだ、いつもの8割ほどの子どもたちではありますが、園庭を飛び交う水しぶきが、初夏の日差しをはね返しながらキラキラと舞う…こんな賑わいが、やはり保育園には似合います。
 6月のスタートダッシュに一息つけば、比較的穏やかだったこの地域の3ヶ月を、また思い返してみたりしています。

 あの「遊びのレシピ」の動画配信を通して、まさか自分にユーチューバーデビュー (^-^)v なんて日が訪れようとは…これは、このコロナ禍が私の人生にもたらした事件でした。普段なら決して選ばない行動をしている自分に驚くことが、皆さんにも、あったのではないでしょうか。
 そして、そんなたわいもない出来事の傍を流れる平穏な日常こそが、私たちの行動の最大の効果。少し窮屈ではあったけれど、いつもと変わらぬ朝を迎えることが、私たちの成し遂げた大きな成果だったのだと、しみじみ思うのです。ただ一方でそれは、頭では理解はできても、少し実感しにくいものなのですが。
 何事も起こらない当たり前の毎日は、そうしたみんなの努力で作り出している状態…そうわかっていながらも、「とはいえ、そろそろ」なんて、また以前のように集まりたくなってしまうのですが、第2波、3波へと話題が移っていることを聞けば、まだ終わってはいない…ちょうど「出口の入口」辺りにいるのかなと、自分に言い聞かせてみるのです。

 確かに3密の避けられない保育園、「新しい生活様式」も少し馴染まない場所なのですが、だからと言って、この3ヶ月を無駄にしないためにも、社会の一員としても、開き直るわけにはいきません。
 矢継ぎ早に飛び込む行政からの通知、医療機関や学術団体から提示される知見、報道やネット上を飛び交う様々な情報、そういったものに聞き耳を立てながら、誰にも正解がわからぬ中で、私たちが選んだのは、「減密で濃密に」という方向性。この内容(今後の予定)については、既にお伝えしている通りです。

 この意味は、可能な範囲で3密を減らしつつも、子ども同士で過ごす通常の保育時間の枠の中は、生活のスタイル、遊びのスタイル、学びのスタイルを大きくは変えないということです。これは、「ウイルスの排出量の少ない子どもから子どもへの感染リスクは、大人から子どもへの感染リスクに比べて十分に小さい」という、主に医療系の学会・団体から聞く知見を拠り所にしています。
 そしてそれは、子どもたちの大人との接触機会を、日々の保育内容を支える保育者や外部講師などの特定の大人に絞っていくという考え方でもあります。これが「減密」です。

 今まで通りの、多くの家庭が一堂に会する機会は、しばらくはお預けとなり、寂しい思いはありますが、その分、私たちの力を、日々の保育活動の充実に注いでいくことができる…今は少し、頭を切り替えていくことも必要なのかもしれません。 
 参観のための規模の大きな特別な場を設定せずとも、大人の側が子どもたちの日頃の活動時間に合わせて、個別的に、あるいはクラスやグループごとに、時と場所をずらしながら、アクセスできるようにすること、小さな集いを園全体に散りばめていくこと…このコロナ対策で求められている方向性は、実は本来、この乳幼児期に相応しく、保育の場にとても馴染みやすい考え方であることにも、私たちは気づくのです(こうした分散型の参観も、夏を越えた辺りからなら、少しずつ…そうした期待を持っています。これも社会状況を見渡しながらですが。)。

 これが保育園でできる、また私たち保育者から提案したい「新しい保育園の生活様式」です。
 そして、そういった形が可能になっていく社会が、子どもたちの立場から見た「働き方改革」の一つの姿なのではないかなとも思うのです。
 だからと言って、今までの園行事のスタイルを、大きく変えるわけではありません。みんなでワイワイと交流することは、やはり楽しいものです!(今は…もうしばらく…我慢ですが。)
 
 外部講師との連携も、6月には運動遊び、7月から造形遊びも再開します。プール遊びも、空間的、時間的に分散を図りながら、いつも通りに楽しんでいくための準備を進めています。こうして、いつもと何も変わらない充実した保育の展開と、遊び環境充実を目指し、私たちは、最高の一年を作っていきますので、変わらぬ期待を寄せていただきたいと思っています。そう、これが「濃密」ということなのです。

 子どもたちの生活や活動の充実は、日常の保育時間の外側にある行事とは、全く別に存在します。確かにそういったものは、大人たちにとって、日常に彩りを添えるものかもしれませんが、子どもたちには、毎日出会う個別的な体験こそが本当に特別なものなのです。大規模なイベントがなくても、お子さんの経験の意味やその価値が少しでも届くよう、毎日の保育記録の掲示には力を入れていますので、そこから子どもたちの園生活を読み取っていただけたら、本当に嬉しい。
 大人たちのしばらくの我慢や、考え方や慣習の切り替えが、子どもたちの日常に大きな制限をかけることなく、充実した毎日と感染予防のバランスを取ることを可能にするのです。

 この3ヶ月を過ごしてみて、気づいたことがあります。それは、早く以前に戻したいこともあるけれど、戻す必要がないことも、この世の中には、あるのではないか…ということ。
 子どもたちの傍に身をかがめ、その見つめる先に視線を合わせていけば、それを、見つけていけるような…そんな気がするのです。

園長 折井 誠司

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